■ 秋から冬のトキのようす
秋から冬のトキのようすについて紹介します。 佐渡トキ保護センターで飼育されているトキのようすについて佐渡トキ保護センター獣医師の和食(わじき)雄一さんからお話を聞きました。 また、 野生のトキのようすについてはかつて佐渡の自然下に生息する野生のトキを観察していた元佐渡トキ保護センター長の近辻宏帰さんにお話を聞きました。
<秋から冬のトキのようす> 佐渡トキ保護センター獣医師 和食雄一

(雪の地面をつつくトキ 写真:佐渡トキ保護センター)
●体重が増加
多くの動物が冬にかけて太るように、トキも冬に体重が2割ほど増します。
夏は食欲がおち、採餌量(食べたエサの量)が少なくなります。秋になると再びエサをよく食べるようになります。
冬になるとまた採餌量が減りますが、夏ほどではないようです。春になると再び採餌量が増えます。
エサは基本的にはトキが食べるだけ与えます。毎日、各ケージについて人工飼料、ドジョウ、ペレットの給餌量と採餌量を記録しています。
その記録を見て、与えるエサの量を変えたりしています。
●トキ色の羽
繁殖期の黒い羽は抜け落ちて、現在はきれいな、いわゆるトキ色をしています。
個体差がありますが、早いトキだと12月中旬に来年の繁殖にむけて再び黒く着色し始めます。
抜け落ちた羽は、国で定めている種の保存法にのっとり、遺伝子をとっておくため保存をしています。
羽の付け根から細胞をとることができ、トキのオスメスの判定もこの細胞をつかって行います。
トキの羽はすべて消毒した後に大きなタッパーに入れて佐渡トキ保護センターで保管しています。

(トキ色の羽 写真:佐渡トキ保護センター)
●秋から冬は神経質に
10、11月になると、特に飼育羽数が多いケージでは夕方のねぐら争いがいつもより目立つようになります。止まり木のうえで「あっち行け」
という感じで、クチバシでつついたり、声を出したりして威嚇します。だいたい追い出されるトキは決まっていて、
そういった弱くて神経質なトキは何かあると少しのことで驚いて飛び上がります。それにつられて、ほかのトキも「何事か」
という感じで飛び回るのでケージの中全体がパニック状態になってしまいます。
また、10、11月は神経質なトキがさらに神経質になる時期のように思えます。
驚いて飛び回るたびに下痢をする個体やケージの網にぶつかって頭をけがしたり、
軽い脳しんとうを起こしたりする個体がでてくるなど観察しているほうにしてみれば、緊張の毎日です。
●寒い日のトキ
寒くなると、
トキが首をほぼ180度回転させてクチバシや頭の一部を羽の間にうずめて寒さに耐えている姿をよくみかけます。
ケージの中には雪がつもることもあります。震えているトキもたまにいますが、夏よりはまだ過ごしやすいかもしれません。
冬でも水浴びをします。水浴びをして首を背中等にこすりつけ、繁殖期特有の黒い色に着色します。
雪が降る日よりも晴れた日の午後に多くみられます。トキも寒さによって風邪をひくかというと、今までのところ、寒さが原因と思われる病気
(風邪)はないと思います。

(雪の積もった佐渡トキ保護センター 写真:佐渡トキ保護センター)
<秋から冬の野生のトキのようす> 元佐渡トキ保護センター長 近辻宏帰
●気温が高くても、
低くてもする水浴び
トキは氷点下でもおだやかな風のない日には水浴びをします。雨の日はほとんど水浴びをしません。
水浴びをするときには羽で水を跳ね上げる音がでます。トキにとって水浴び中は外敵の接近に気づきにくい無防備な状態です。
雨や風による騒音で外敵が近寄る音が聞こえないもしくは聞き取りにくいということが水浴びをしない条件のひとつの要素に考えられます。
暑い日でも氷点下でも気象条件がよければ水浴びをするトキですが、なぜか決まって12時以降に水浴びをします。
●冬期間のエサさがし
野生下では、山に雪が積もる冬のあいだ、山のトキは人里まで降りてきます。山すそで、
雪が積もったり凍っていない場所を見つけてエサ探しをします。トキも冷たい雪の上を歩くのはいやがるのでしょうか?と質問されましたが、
歩かないとエサが取れないので雪の上も歩きます。段々になっている田んぼで次の田んぼにうつるときに、飛ばずに雪の中を歩き、
斜面で足を取られ羽を広げてバランスをとることもあります。
野生化では、地面をくちばしでつつき、水の中のタニシや、落ち葉の下にいるアカガエル、土の中や稲株に隠れている昆虫を見つけます。
雪がなければ田んぼや足が立つくらいの水路も探します。雪に覆われるとエサを見つけ出すことが困難になります。

(落ち葉下の幼虫)
