■ 生きものを育む田んぼづくり「冬期湛水」が広がっています
佐渡では、農業分野でもトキとの共生を目指しています。
佐渡市は2008年に「トキと暮らす郷認証制度」設立し、佐渡産コシヒカリの栽培において「生きものを育む農法」を進めています。
生きものを育む農法とは、田んぼの小さな虫、それを食べる鳥、お米を食べる人間など、田んぼに関わる命全体を大切にし、
健やかに育てることを目指します。

(国仲地域 ふゆみずたんぼ風景)
「冬期湛水」は生きものを育む農法のひとつです。通常、田んぼに水を入れない冬の期間に、水を張ります。これによって微生物が増えたり、
カエルの産卵場所になったりと、水を必要とする動物が田んぼで生きられるようになります。
2008年12月26日(金)、佐渡市で冬期湛水の団地化事業が実施されました。
冬期湛水は、これまである程度隔離された田んぼで個人ごとに実施されてきました。隣の田んぼへ水がしみ出ることや、
水の確保など周囲の人へ影響があるからです。
今回の団地化事業は、国仲平野にある大きな田んぼでまとまって行われました。これは、農家の方々がそろって冬期湛水に合意したことと、
農業用水の管理や機械の運営を行う土地改良区が協力したことによって実現したものです。

(開始式 高野市長)
26日に開始式が行われました。高野佐渡市長と、環境省佐渡自然保護官事務所の岩浅有記自然保護官があいさつをし、
農業者代表として佐渡トキの田んぼを守る会・会長の斎藤真一郎さんが決意表明をしました。
今後、この大区画の冬期湛水田事業は、森林や河川とつながっていない平野での「生きものを育む農法」のモデル地区として、
農法の手法が検証されます。また、農家や子どもたちが集まって生きもの調査をする場所になったり、
佐渡の取り組みを紹介する場所にもなります。
一方、佐渡の農業者の団体や島外のNPO団体の主催で、田んぼの生きものふやす農法や、冬期湛水の効果を学ぶ研修会が開催されました。
2009年1月10、11日(土・日)は、NPO法人メダカのがっこう「トキの田んぼを守る会」(佐渡事務局)主催、佐渡市の後援で
『佐渡からはじめよう研修会』が開かれました。

(カエルが行き来できるよう、フタのとりつけ)
研修会では、秋に代かき(しろかき)を行い、その後、冬期湛水を行う「秋代ふゆみずたんぼ」が紹介されました。冬期湛水は「ふゆみずたんぼ」
とも呼ばれます。秋代ふゆみずたんぼは、生きものを増やすだけでなく、「雑草」を克服できると、島内外の実践者から発表がありました。
研修会2日目には、コンクリート水路によって田んぼと山が分断されている田んぼで、水路にフタをつけるなどの実践研修が行われました。
水路のフタによってカエルが産卵のために山と田んぼを行き来できるようになったり、田んぼ内に江(深み)を掘ることで、
田んぼの水かさが減ったときに、生きものが避難できる場所ができました。
研修会に参加者した農家の1人は、「これまで地域で冬期湛水を実践していましたが、
実際どのような効果があるのかははっきりと分かっていませんでした。今回学ぶことができてよかったです。
地域に帰って一緒に取り組んでいる人に伝えたいです」と話していました。

(研修会)
