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■ トキの暮らす環境づくり 2009年春~夏のようす

トキが佐渡の自然の中でくらせるように、佐渡では今年も、佐渡島内外のいろいろな人たちが協力して、 トキのための環境づくりをしています。2009年の春から夏のあいだ行われた活動をいくつか紹介します。

●子どもたちがトキのエサ場づくり トキ交流会館・ トキ学習
トキ交流会館では「トキ学習」として、トキについてのお話と、トキのエサ場づくり体験学習を提供しています。毎年、修学旅行生をはじめ、 たくさんの人が体験に訪れます。トキのエサ場づくりは、みんなの力で、利用していない田んぼを生きものいっぱいのビオトープに再生させます。 講師はトキの野生復帰連絡協議会(トキ連)会長で生椿地区・農家の高野毅さんと、地元の「潟上水辺の会」の方々です。 2009年はこれまでに、小学校・中学校・高校、大学生が参加しました。普段、自然の中で遊んだり、 農作業の経験がない子どもたちにとっては、泥や生きものに触れることは苦手かなと思いきや、女の子も男の子も、年齢に関わらず、 田んぼの泥んこ作業や、小さな生きものに夢中になります。
高野さんや水辺の会の方々は、トキ学習に参加する人たちとの作業を楽しみにしています。秋にもたくさんの子どもたちが、 トキのエサ場づくり体験に来ます。

トキ学習ビオトープ トキ学習完成ビオトープ

●キセン城地区の水辺再生 新潟大学
新潟大学は、2009年5月に、トキ野生復帰にむけた幅広い研究に取り組む「新潟大学超域朱鷺プロジェクト」を設立しました。 このプロジェクトの礎は、2003年に発足した「新潟大学トキ野生復帰プロジェクト」です。佐渡市新穂地区の「キセン城」 という山間の地区で、市民向けの環境学習の講座や、学生の実習、自然再生の研究などを行っています。
今年も新潟大学の学生が、授業としてキセン城でビオトープ作業を行いました。 長年使用されていなかったために田んぼに生えてしまった木を整理したり、 ビオトープに茂った草を引き抜いたりする作業はなかなかの重労働です。学生のほとんどは、生まれて初めての山作業なので、 新鮮に感じているようです。
キセン城では、これまで、トキプロジェクトのスタッフ、学生、環境NPO団体や、地元のボランティアなどの協力によって、 地区内の使われていなかった田んぼのうち140枚がビオトープに生まれ変わりました。今年の調査の結果、 カエルやイモリなどの両生類の卵塊の数は、プロジェクトの1年目と比べて5倍ほどに増えたそうです。プロジェクトスタッフの方は、「今後は、 トキが上空からビオトープを発見して利用しやすいように、ビオトープ周辺の木々の環境整備をしたいと考えています」と話しています。

キセン城作業1 キセン城作業2
(写真提供:新潟大学)

●企業がトキ野生復帰を応援 金羊社ビオトープツアー
2009年7月19日、東京にある印刷会社「株式会社 金羊社」が、今年第1回目の佐渡でのビオトープづくりを行いました。金羊社は、 会社が行う地域貢献活動(CSR)の一環として、佐渡のトキの野生復帰に向けた取り組みを応援しようと、 2007年からトキの野生復帰支援プロジェクトの法人サポーターになりました。1年に2回、社員と家族などが佐渡を訪れ、トキのエサ場・ ビオトープづくりをしています。今年7月の作業は、むかし、数少なくなった野生のトキが暮らしていた生椿地区で、 生椿地区農家でトキ連会長の高野毅さんと一緒に作業をしました。引き抜いた草を土中に踏み込むため、並んで行進する「電車ごっこ」は、 大人全員で行いました。足をとられて前に倒れたり、後ろに引っ張られたりして笑いがおきます。子どももスコップを持って作業に参戦しますが、 網とバケツに持ち換えると、オタマジャクシやバッタを捕まえたり、すぐ近くにとまる水色や黄色のイトトンボに目を輝かせていました。 高野さんは「ビオトープは、作った後の維持をするのが大変なので、こうして協力してくれる人たちがいることがありがたい」と話していました。

金羊社の生椿ビオトープ作業 ビオトープ電車

●農家が取り組む環境づくり 佐渡市「朱鷺と暮らす郷」 認証制度
佐渡市では、2008年に「朱鷺と暮らす郷」認証制度を設立し、農家の人たちと佐渡市が協力して、人もトキもすみよい環境と、安心・ 安全なお米をつくることを目指しています。認証制度のもと作られた「朱鷺と暮らす郷認証米」は、農薬を減らし、 生きものを育む農法で作られた佐渡産のコシヒカリです。安全でおいしく、トキの野生復帰の応援にもなることから、 消費者にも好評をいただいています。
今年は認証制度のお米づくりに取り組む農家の数が、2008年の2倍近く、面積も約2倍以上増えました。新穂北方地区 「北方区域トキの里国仲環境保全会」代表の原田清一さんは、「集落の農家に呼びかけたところ、大勢が賛同したので、 グループを立ち上げて今年から実践しました。朱鷺と暮らす郷認証米が佐渡のブランドとなるよう、しっかりと作業をしています。認証にむけて、 みんなが協力して作業をするなかで、集落にさらにまとまりがでたり、子どもたちと生きもの調査したりなど、新しいつながりも出てきました。 生きものがたくさんいる田んぼでできた、佐渡の安全でおいしいお米を、たくさんの人に食べていただきたいです」と話しました。
佐渡市では、お米を作っていない田んぼをビオトープとして活用することもすすめています。利用していない田んぼや、 冬期間に田んぼに水を張ることで、水辺の生きものが増えます。この取り組みも今年は申請者が増えて、去年の約1.4倍、 面積にして約34haほど広がりました。

魚道の設置研修会 生きもの調査
(魚道の設置説明会と、生きもの調査のようす)

佐渡ではほかにも、島内外のNPO団体、大学、企業、消費者団体、地元地域の人たち、ボランティア、 行政などが環境づくりをしています。環境づくりは、ボランティアに参加するだけでなく、お米を食べたり、募金をしたり、 取り組みを見守ったり、人とトキの話をすることも応援になります。トキと人やさまざまな生きものが暮らせる環境にむけて、 これからも応援をお願いします。

[ 掲載日 2009年09月14日 | 読みもの ▼ひとつ前へ戻る ▲ひとつ次へ進む ]