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■ 「トキを見た!」地域の人の声 -羽茂地区 金子頴一さん留美子さん夫妻-

2008年9月に試験放鳥されたトキは、小佐渡東部のほかに、南部の羽茂地区周辺にも定着しました。羽茂地区の農家・ 金子頴一さん留美子さんご夫妻は、環境省のトキモニターボランティアとして、仕事のかたわらトキの観察をしています。おふたりは、 平成12年からずっと、トキとの共生を目指したボランティア活動に積極的に参加しています。
(聞き取り:佐渡トキファンクラブ)

●羽茂地区 金子頴一さん留美子さん

金子頴一さん留美子さん
(トキモニターボランティアのユニフォームを着て。後ろは、 トキが来た自宅の田んぼです)

トキが羽茂地区に来たのは2008年10月です。羽茂地区は暖かい地域なので、トキが来てくれると思っていました。 私たちの家の田んぼにも来てくれて、とても嬉しいです。トキの観察は朝夕の日課になりました。観察結果は、 放鳥トキの調査に役立ててもらうため、トキ目撃情報を募集しているトキ交流会館に連絡をしています。1日、1日、 トキが元気でいるのを見て安心します。

羽茂に飛来したトキ
(羽茂の田んぼに降りたトキ。撮影:金子頴一さん)

私たちは平成12年に野浦地区のトキを軸とした地域づくりに誘われたのをきっかけに、 トキや自然環境に関する活動に参加するようになりました。「NPO法人トキどき応援団」は、設立前の活動から参加し、毎月の勉強会や、旧・ 佐渡トキ保護センターがあった清水平地区でのトキのエサ場づくり(ビオトープ)、生きもの調査などを続けています。 「UX新潟テレビ21ときプロジェクト」は、環境によいお米づくりを中心としたトキがくらせる環境づくりをしています。 多くの島外からの参加者と一緒にボランティア作業をしています。ほかにも、環境に関する会議や研修などにも参加しています。

私たち夫婦は若い頃から山や佐渡の自然が好きでした。鳥のようすによって天気が変化することもあるので、 生活の中で野鳥に関心がありました。子どもが幼いころは野鳥観察会に一緒に行ったり、 当時すでにトキ保護の活動をなさっていた佐藤春雄先生の講話を聞きに行ったりしました。そして、 佐渡の自然環境に関わるボランティアをしてみたいと思いました。

清水平ビオトープづくり
(清水平で、みんなでトキのエサ場づくり)

ボランティアには、島内外から年齢も性別も職種もいろいろな人たちが集まります。みんな「トキがくらせる環境をつくろう」 という共通の目的で一生懸命に作業します。私たちはそれに参加することが嬉しく、また、 いろいろな人たちに出会い話を聞くことで新鮮な発見もあります。活動を通じて知り合いもたくさんできるので「またみんなに会いたいな」 と思ってボランティアに参加します。
私たちにとって楽しみでもあり、私たちの普段の仕事にもよい影響をくれる大切なことです。おけさ柿やお米の農繁期でも、 2人で一生懸命仕事をして時間をつくり、参加します。

あぜぬり
(くわを使ったあぜぬり。農家の技術が役立ちます)

田んぼづくりや山の手入れなど、トキの環境づくりでは、私たち農家の技術が役に立つ場面がたくさんあります。 ホースがなくて下流に水を送れないときは、割った竹を水路にしたり、稲刈りのときには、稲を持ち方や稲穂の1本も大切にすることなどを、 子どもたちや経験のない人に伝えます。といってもあまり言いすぎません。みんな回を重ねるごとに作業がうまくなっていきます。 トキのための環境づくりを通して、私たち農家の知っていることを伝えたり、佐渡に来た人たちを迎えるのは嬉しいことです。
ボランティアでもどんなことでも、始めることが大切です。分からないことや、間違えたことを、回数をこなして徐々に解決していくことで、 成功に近づきます。

 干し柿づくり
(トキ交流会館で行われた、UX新潟テレビ21ときプロジェクトの収穫祭。島外の方に干し柿づくりを指導中)

私たちは、ボランティアもトキの観察もほとんど夫婦で出かけています。だいたい、お父さん(頴一さん)が、「よう心が知れとるし」 ということで、お母さん(留美子さん)を誘います。トキの観察は2人がちょうどいいです。トキの観察は車の中から行いますが、 2人一緒だと1人は運転に集中して、もう1人はトキを探すことに集中できます。
トキを見かけた羽茂地区の人たちから、「金子さん、トキがあすこにおるよ」「トキがおるし来てくれ」と連絡をもらうことがあります。 私たちがこれまでトキの取り組みに関わってきたことや、トキモニターボランティアをしていることなどを知っているのです。 「ボランティアに参加しよう」とか「環境について取り組もう」とか、強く声はかけられないけれど、 私たちが継続してボランティアに取り組んでいることで、周囲に少しでも広がって行くといいなと思います。 トキと共生する取り組みが若い人も参加して、佐渡全島に広がり、人もトキも安全な食べものを食べ、 安心して豊かに暮らせる佐渡になってほしいです。

[ 掲載日 2009年01月16日 | 読みもの ▼ひとつ前へ戻る ▲ひとつ次へ進む ]