■ 畦と鳥と -秋編-
畦(あぜ)は水が漏れないようにするために、水田と水田の境に土を盛り上げて作ったものです。
農家では春になるとまず「畦塗り」をして畦の補修をします。作業工程は「畦きり」「耕起」「畦寄せ」「畦塗り」の順で行われ、
この作業が大変な重労働です。土地改良事業が行われた水田では、重機でしっかりと畦を突き固めて畦塗りをしなくてもよい「永久畦」
に変わりました。また、最近ではトラクターに付けて使う「畦塗り機」が普及して、昔のように鍬(くわ)
を使い手作業で畦を塗る農家は激減しました。
畦塗りが終わり水田に水が張られると、畦は陸域から水域への移行帯、洒落た言葉を使えばエコトーンとなり、
様々な生きものの住みかとなります。
畦際には餌となる生きものが豊富なため、水田に下りている鳥は、畦沿いで餌を探していることが多いのです。
畦はまた休憩場所としても、鳥たちに重宝されています。餌を食べた後、羽の手入れをしたり眠ったりするのは決まって畦の上です。
【秋の畦で】 ※どの写真も、クリックすると大きくご覧いただけます。

オオジシギ
本州と北海道、サハリンで繁殖する日本の固有種です。越冬地は9,000km離れたオーストラリアで、繁殖地と越冬地を行き来する途中、
春と秋、佐渡に立ち寄ります。秋は、お盆頃から稲刈りの頃まで、農道や畦で餌をとっている姿を見ることができます。長い嘴(くちばし)
を土の中に差し込んで、ミミズなどを捕らえて食べます。オオジシギが餌を探した畦際を見ると、嘴を差し入れた小さな穴が無数に開いています。
写真は採食後、畦で一服するオオジシギ。(2003年9月15日、新穂青木地区)

マナヅル
2004年4月から2007年4月まで、国中平野に滞在したマナヅル。年老いていて、繁殖地に戻れないものと考えられていました。しかし、
2006年11月、ナベヅル1羽が国中平野に渡来すると一緒に仲良く行動するようになり、2007年4月、
ナベヅルとともに佐渡から渡り去ってしまいました。
ツル類は雑食性で、そのメニューは多彩です。季節に応じて、動物質の餌から植物質の餌まで、実に様々なものを食べています。
佐渡に飛来したマナヅルも畦をうまく利用していました。頑丈な嘴で畦際を掘り返して雑草の根茎を食べ、また大発生したイナゴを採り、
農家には言いづらいのですが、稲が実ると畦際の稲穂を失敬していました。
写真は、畦の上で休息し、気持ちよさそうに「伸び」をするマナヅル。(2006年9月9日、八幡地区)

コウノトリ
2008年8月から2009年3月まで国中平野に滞在し、話題をさらったコウノトリ。秋、
稲刈りで水田の排水をよくするために畦際に掘った江(土水路)でドジョウを捕食していました。水を落とした水田では、
江の水溜りはドジョウなどの水生生物の密度が高く、コウノトリはこの江で小一時間採食していました。
写真は稲刈りが終わった畦際の江で餌を探すコウノトリ。(2008年11月24日、金井新保地区)
日本野鳥の会佐渡支部 近藤健一郎
