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■ 「トキを見た!」地域の人の声 -東鵜島地区-

2009年に放鳥されたトキ20羽のうち、1~2羽が、10月中に佐渡島の南東部にある東鵜島(ひがしうしま)地区に飛来しました。 トキを見た集落の人が、トキ交流会館に連絡し、専門チーム(モニタリングチーム)がかけつけて、トキの細かな行動を観察しました。 トキが東鵜島に来たときのことを、東鵜島地区の河内(かわち)やよえさん、坂田茂夫さん、区長の栄(さかえ)和子さんに聞きました。 (聞き取り:佐渡トキファンクラブ)

●東鵜島地区とトキの思い出

栄さん:東鵜島は現在9軒の集落です。山に田んぼ、 海岸のそばに家々があります。海の向こう正面には弥彦山、その隣りに角田山が見えます。かつて、最後の野生のトキがいたころも、 東鵜島にトキが来ていました。私が中学校へ通っているとき、飛んでいるトキを見つけて「トキだ」と言うと、 授業中でもみんなが外を見たものです。
今回、東鵜島に来てくれたトキが使っていた田んぼは、かつての野生トキが使っていた田んぼと同じ場所です。昔、 その田んぼに12羽のトキがいたのを見たことがあります。ちょうど5月5日の子どもの日、山の上にある炭焼き小屋に行く途中でした。
坂田さん:昔は田んぼの苗を植えた時分にトキが来て困ったものでした。 トキが苗を踏んでしまうので、毎日、苗の植え替えをしなくちゃいけない。今は、トキが来てくれて困るなぁとかいう思いはなく、「あら、 うれしい!」という気持ちです。

放鳥トキの写真:提供・環境省
東鵜島に飛来したNo23
(東鵜島地区を飛翔するNo.23)

●トキが青空を飛んでいた
河内さん:10月4日、主人と一緒に車で田んぼに登るとき、 上空を飛ぶトキを見ました。その日はよく晴れた青空だったので、きれいなトキ色が映えて、はっきりトキだと分かりました。 トキは旋回して棚田の上の方に飛んでいき、見えなくなりました。トキの目撃情報は、交流会館に連絡しなくちゃいけないと思い、 区長さんにお願いして連絡をしてもらいました。
坂田さん:私は翌日に2羽を見ました。畑にいるとき、頭上で鳴き声がして、 「トキの声だ」と思いました。見上げると翼の色ですぐにトキと分かりました。2羽のトキが、河内さんの田んぼの方へ行きました。 田んぼにいる2人に「トキがいったぞー」と呼ぼうと思ったけど、トキを驚かせてはいけないと思って、黙っていました。

東鵜島トキの来ていた田んぼ
(トキが降りた、生きものいっぱいの田んぼ。案内をしてくださった[左から]河内さん、栄さん、坂田さん)

●トキの来る田んぼ
坂田さん:この集落の家々では、お米は自家用しか作らないので、無農薬・ 無化学肥料で栽培しています。今のお米はなかなか病気にかかりませんし、お米が少し虫にくわれたくらいは気になりません。
河内さん:トキが来ていたうちの田んぼは、上に水を溜めておく堤があり、 田んぼの中には江もあって、田んぼにはいつも水気があります。トキは特に、田んぼの水のある辺りをつついていたようです。 そこには昔からタニシやカニやミミズがよくいます。
「うちの田んぼにトキがいたよ」と孫に連絡をしたら「そりゃあ、うちでとれるお米はトキ米だなぁ」と喜んでくれました。
坂田さん:トキがいなくなったあとの田んぼに、 足跡などを見に行ったりもしました。

畦で採餌するNo23
(あぜで探餌をするNo.23)

●トキの観察と集落の人たち

栄さん:交流会館に連絡した後、モニタリングチームの方が来ました。 トキから隠れて観察できる道を教え、そこから毎日観察していました。集落の人が近くにいると、モニタリングチームの方が、 写真を見せて説明してくれました。東鵜島に来たトキは、番号が23番。オスで、GPS(発信器)を付けていないトキです。
坂田さん:トキが遠くの木にとまると、肉眼では分からないのですが、 モニタリングチームの方が大きな望遠鏡で見せてくれました。
河内さん:台風が来た次の日は、竹や木が倒れて、 観察場所への道が通れなくなったものだから、次の日には、集落みんなでその道つくりをしてね。
栄さん:今朝も畑で仕事をしていると、 モニタリングの方と思う車が通ったのが見えたので、河内さんに伝えて見に行ってもらったんです。
河内さん:だけど、モニタリングの方はいなくて、 トキもいないんだなぁと思って、残念だったね。

●トキにまた来てほしいなぁ
坂田さん:こうなったら、東鵜島もビオトープづくりをしなくちゃいけないかな。
河内さん:トキがすみついたのに、いなくなって残念。また来てほしいです。 これからは田んぼの後始末や柿の収穫も終わるので、人気がなくなるし、また来てくれるかな、と期待しています。今も、朝外へ出ると、 まずは空を見上げますね。


お話を聞いていると、東鵜島のみなさんのトキに対する暖かい心遣いを感じました。
トキが来るようになってからは、トキが来る田んぼには直接行かず、一旦、遠くの道に登って、 トキがいないことを確認してから田んぼに行くようにしていたそうです。
今は、東鵜島に姿を見せなくなった23番のゆくえを気にされていました。きっとまた東鵜島にもトキが帰ってくると思います。 トキが帰ってきたら、また、トキ交流会館までご連絡お待ちしております。ありがとうございました。

[ 掲載日 2009年11月10日 | 読みもの ▼ひとつ前へ戻る ▲ひとつ次へ進む ]