■ 「トキを見た!」地域の人の声-小倉地区-
小倉地区は、平成20年の第1回放鳥、翌年の第2回放鳥でトキが訪れ、地元の方からトキ目撃情報が寄せられました。
佐渡百選にも選ばれている景勝地「小倉千枚田」があり、休耕田が多くなった千枚田の景観を取り戻そうと、
地元と行政やNPO団体などが協力し、平成20年から、田んぼのオーナーを募集し、田んぼの復活と保全をしています。
今回は、トキ目撃情報を寄せてくださった、小倉千枚田復活事業支援協議会委員の嘉井光志(かいみつし)さんに、
トキが訪れた小倉地区のことと、千枚田の取り組みについてお話を聞きました。(聞き取り:佐渡トキファンクラブ)

(春の小倉千枚田)
●ついにトキを見た!
平成21年10月6日の朝8時前、山へ浄水場の点検に行き、車で坂を下っていると、白い鳥が飛び立ちました。
小倉地区には昨年もトキが来たというので、「トキかな」と迷っていると、私が呼ぶのに応えるように旋回して戻って来ました。
目の前を頭の赤い鳥が過ぎ行き、はっきりトキだと分かりました。急いでカメラを手に取ろうと思いきや、その日に限って、
現場用のカメラがありません。携帯電話のカメラで撮って、職場の仲間に報告しましたが、写真の白い点では、
なかなかトキとは分かってもらえませんでした。私はトキを生まれて初めて見たことに感動と、ウソではないか誰かに確認してもらいたいと思い、
すぐにトキ交流会館に連絡し、調査の人が早く来ないか待ち遠しかったです。

(川に沿って連なる家々)
●トキが訪れた山や川は、昔の遊び場
小倉地区は、佐渡の内陸にあり、山と川の自然が豊かな地域です。山には急な斜面を利用した棚田が続き、里では、川の上流に神社があり、
昔ながらの家々や、学校や、集落センターなどが川沿いに連なっています。トキは沢を好むのか、
地区の川沿いの木にトキがとまっているのを見たという人たちもいます。
地区を流れる小倉川は、昔は遊び場でした。石を詰めた肥料袋で川水をせき止めて泳いだものです。親が交代で監視について、当日、赤・白旗
(水泳可能の合図)を確認するのが楽しみでした。川には小さな生き物がいて、魚やカニもいっぱいいました。「ベトカジ」(カジカ)がいたり、
履いていた長靴にアユを入れて帰ったりしました。本当に水がキレイでしたね。田んぼには小動物が活発に動いて、
一番目につくのはオタマジャクシ。タニシはゆっくりと歩き、ドジョウは泥の中。ミズスマシは忍者のようにスイスイ。他にもタガメ、
トノサマバッタ、カブトムシ、クワガタなど、小学生には最高の遊び場。腹が減った時には山栗、グミ、クルミ、ヤマブドウ、
アケビなど下校中に…帰れば、ばあちゃんに怒られた思い出の地です。

(千枚田に立つ嘉井さん。持っているのはお花)
●地域の伝統行事や、
つながりを残したい
小倉地区には伝統芸能の「物部神社若者による小倉鬼太鼓」が4組あります。笛や太鼓の演奏や、踊り手など10人くらいが1組となって、
お祭りの日に無病息災を祈って家々をまわります。ほかにも、青年による「夏祭り実行委員会」や「緑の会」などがあり、
それぞれが地域の活動を担っています。小倉地区では、小学校と地区の運動会が一緒に開催されるなど、
伝統行事や地域の行事を通してお互いに知らない人はいないくらいです。
しかし、現在は町の近くに移り住む人が増えて、地区に人が少なくなりました。地域の行事や作業するときも、
別の地区から人を借りたりしています。地区内での人の交流も、以前より少なくなったように思います。
平成2年、小倉千枚田の下に、国営事業の「小倉ダム」が平成3年に着工予定となり、それに伴い、「緑の会」の若者たちで勉強会を開き、
小倉ダムの周辺整備と、私たちが希望する小倉地区の将来像を考えました。完成したのは、お年寄りを囲んでみんなが交流する場があり、
かつて私たちが遊んでいたような豊かな小倉川づくりと、山菜豊富な小倉の風土を生かした生産と販売をする暮らしでした。

(千枚田稲刈り)
●小倉千枚田にいろいろな人が集う
「小倉千枚田」は、小倉地区にある棚田のひとつです。かつては、山の一斜面に100枚を越える田んぼがありましたが、
作業効率の悪さから多くが耕作されなくなりました。平成19年に、佐渡市から小倉ダムの周辺整備の一環として、
小倉千枚田の復活が提案されました。そこで、小倉地区住民、小倉地区の緑の会、夏祭り実行委員、島内NPO団体、新潟県、
市がメンバーとなって協議会を立ち上げ、同年に「トキの島小倉千枚田復活保全活性化事業」を始めました。

千枚田は、田んぼ1枚1枚の面積がせまく斜面が急なので、作業が困難です。田んぼを復活させて本当に維持できるのか不安に思いながら、
メンバーでカヤの茂った田んぼを復活させました。
平成20年、「トキの島小倉千枚田農園のオーナー」を12区画募集し、その結果、用意した田んぼすべてに申し込みがありました。翌年には、
田んぼを26区画増やし、合わせて38区画募集しましたが、こちらもすべてオーナーがつき、驚きました。
田んぼのオーナーには、年3回のイベント(田植え、草刈り、稲刈り)作業に参加していただき、秋には収穫したお米を送っています。
オーナーは、千枚田の田んぼに自分の名前が書かれた看板が立っているのを見ると感激すると話していました。
みなさんが地元の人と一緒に農作業を楽しんでいて、中には家族や友人を連れて来ている方もいます。

(田植え。子どもたちは脱いで泥んこ)
年8回の作業では、ボランティアを募集しています。参加者は、小倉地区の人や新潟県や佐渡市の職員のほか、
Uターンで都会から小倉地区へ引っ越してきた人や、島内の方、お米作りを体験してみたいという若者などもいます。
農作業を経験したことのない方もたくさんいて、長靴を脱いで作業に奮闘する人を見たときには、みんなが大笑い。
一生懸命作業するようすに感激もしました。平成20年度は、のべ316人、平成21年度は、のべ353人の方が作業に参加しました。
私たちは、お米がちゃんと収穫できるかドキドキしながら、大事に管理に努めています。地元の人にとっては、自分たちの田植え、
稲刈りなどの同じ時期になるので大変ですが、いろいろな人たちが協力してくれています。実りの季節を迎え、一面黄金色になるときには、
やはり、千枚田は美しいなぁと思います。

(小倉地区の子供鬼太鼓)
●新しい交流の場とつながり
小倉地区に親しんでもらおうと、イベントを小倉地区の夏祭りと同じ日に開催したり、収穫祭を催しました。交流の後、地元の年配者から
「みんなが小倉の芸能やおいしいご飯を喜んでくれる。集落センターを利用して泊まってもらうのもいいんじゃないかな」
などアイデアが出ました。千枚田や、小倉の自然の中で田舎体験をするうちに、地元の人や島内外の人たちの、新しいつながりができていきます。
これが千枚田の取り組みを始めてよかったと思うことで、一層、活動のはずみになりますね。
みなさんもどうぞ小倉千枚田の作業に参加してみてください。小倉地区の自然や地域を満喫するうちに、ゆくゆくは、 小倉はいいところだなと思って、住んでくれれば、最高です。

※「トキの島小倉千枚田農園」では、平成22年度も田んぼのオーナー募集をします。
募集内容は、2月1日から、佐渡市ホームページおよびトキファンクラブホームページでお知らせします。
※年間8回行われる作業(イベント含む)では、随時ボランティアを募集しています。作業予定は、トキファンクラブのお知らせ欄
「今月の参加者募集」の記事でお知らせします。
「トキの島小倉千枚田復活保全活性化事業」および「トキの島小倉千枚田農園」についてのお問合せ先
○小倉千枚田復活事業支援協議会 事務局 山本、中川
〒952-1292 新潟県佐渡市千種232 佐渡市役所 農林水産課 農村整備係内
電話:0259-63-3761
