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■ トキ・メッセージ4 トキの野生復帰連絡協議会(トキ連)会長・高野毅さん(後編)

前回に引き続き、トキ連会長の高野毅さんのインタビューです。
http://toki-sado.jp/fanclub/0300/post_42.html

  はえつばき3
(6月上旬の生椿)
 
●現在ある問題に対してあきらめてはいけない
現在の佐渡はいろいろな面で問題を抱えています。 若い人たちが島から出ていってしまったり、
家族や地域の絆が失われて、近所のことにすら無関心であったりします。 
今の時代を考えても、石油資源が底をつきかけたり、
地球温暖化など環境の変化を危機として感じられるようになってきました。 
しかし、その危機感は、日常を変えようとする取り組みにはなかなかつながりません。

昔の人が積み上げてきた歴史の中での現在なのだから変えられる気がしないし、
時代の流れでしかたがないという思いもあるでしょう。
物資を豊富に使う今の生活に満足していて変えたくないし、
将来のことだから自分たちには関係がないと感じるのかも知れません。
もし、みんながあきらめたままこれからを過ごせば、悲惨な未来しか待っていません。私たちの抱えた問題は、 拡大しながら子どもや孫に残してしまうことになります。

なんとかしなくてはいけないことを誰もが感じています。何かをしなければいけないと、むつかしく考えすぎているのかも知れません。

●佐渡の取り組みは未来への希望です
私の父の高野高治が昔、 故郷・生椿で実践したように、
子ども達や、その先に続く子孫に良い環境を残すこととトキと共生する環境をつくることはつながっています。
「トキがすめる環境」で作られるトキブランドは安心・安全な食べものです。
その食べものによって佐渡の人たちは健康でいられます。
佐渡の農家は、“トキのすめる安心・安全な農産物” という付加価値がついた農産物を売ることによって農業にはずみがつき続けていくことができます。
「トキがすむ島」はたくさんの人達が観光に訪れたい島にもなります。
人間と他の生きものが共生できる自然環境を取り戻す試みは世界中で関心が寄せられているからです。

ビオトープづくりや冬の田んぼの水張り(冬期湛水)、山の手入れなど、環境を少しずつ変えていくことは、すぐ成果が見えたり、 すぐにお金になるものではありません。
今までと違ったことをはじめたり、これまでの習慣から離れるには勇気がいります。
文化や歴史、観光、環境などは、じっくり下地を作る時間がいるものです。
今の取り組みが、未来に理想を実現します。近い将来、トキと人とが共生する佐渡の自然や地域、食べもの、
人の暮らしを見て、全国の人たちが、自然と人間が共生する大切さを実感し、
「がんばれば実現できる」という勇気と希望を分かち合えると思います。

来年にはトキが佐渡の空に放たれる今こそ、だれもが、ほんの少しからでも行動をおこしてみることが大切です。

  ゆきつばき
(生椿にて 雪椿の苗植え)

●考えるよりやってみよう
トキ野生復帰連絡協議会に参加する各団体ではさまざまな活動を行い、参加者をつのっています。
トキと共生する環境づくりに参加するのは難しくありません。
ポイントがいくつかあります。

○少しの時間でいい
思いついて空き缶拾いをしたり、作業に1日出られなくても 「1時間くらいだけど行こう」でもいいです。

○特別な企画でなくていい
大きな環境整備イベントもありますが、 身近な地域での溝そうじや草むしりでも立派な環境への手助けです。

○できないことを心配しない
作業を行う理由ややり方がはじめ分からなくても、 体験することで自然と分かるようになってきます。
「おしえてくれえ」の姿勢でいいと思います。

○体験と実践が大切。とにかく作業に集まろう。
机に座って、議論して結果がでないことも、 身体を実際に動かしていると今何をしなくてはいけないか分かってくることがあります。
活動する中で人が集まり対話をすること、それが実践をともなった話し合いです。

環境づくりをやってみて「なるほど、そんなことがあったのか。それはいい。それは今でもやれば良いねか」と
昔の智恵や技術に気づいてもらいたいです。
自分の生活のすべてを問題の解決のために注ぐことはできなくても、ひとつやふたつは生活の中でやってみることができると思います。
ひとりがひとつでも取り組むことで周囲が今よりも良くなっていきます。
みんなが「トキと共生する島づくり」という目的にむかってすすむことで島全体の問題が少しずつ解決されていきます。

トキドキ応援団
(清水平にて NPO法人トキどき応援団)

●トキを通じて佐渡のよさを伝えたい
佐渡の歴史・伝統文化は佐渡の風土が生み、佐渡島の先人たちがはぐくんできたものです。
「先人の歴史や文化、想いを大切にしたい」「佐渡の環境を大切にしたい」という佐渡の人の想いは、
トキとの共生の想いと同じです。
佐渡の文化や歴史を守り伝えていくことは佐渡の環境を守ることにつながります。佐渡の中で
「地元ではないから関係ない」とか、「私は観光、私は農業だけをがんばればいい」というのではなく、 佐渡をよくしていくために互いに協力しあうことが大切だと思います。
佐渡のすべての地区と、農業・林業・水産業、多様な立場の機関や団体がまとまって「環境の島」の実現にむけて取り組む必要があります。
そのひとつがトキの野生復帰連絡協議会です。

●最後に協議会の紹介をします
トキ野生復帰連絡協議会 (トキ連)は、現在30団体ちかくが参加しています。
各団体は、それぞれに独自の活動をしていますが、「トキの野生復帰に向けた環境改善」という目標は同じです。
トキ連の役割は、情報を交換、共有して協働作業などの連携を進めることです。
このことによって効率よく、大きな仕事もできますし、各組織にとっても大きな支えになります。

昨年から協議会では、佐渡市や佐渡トキ保護センター、新潟大学などと一緒に、小佐渡東部の集落を回って、
説明会や話し合いをしています。
私のような農家や、地元に暮らす人、トキの野生復帰にむけて活動を続ける人と行政が共に呼びかけることによって、
上からの押し付けじゃなく、住民が思ったことを言えるような風土と仕組みを作りたいと思っています。
地元からいろいろな意見を吸収し、それを市や団体の活動に反映させ地元に返すような調整も協議会の役割だと思っています。
いつでも協議会に意見を寄せてください。佐渡とトキの野生復帰に関心をもっていただけるだけでありがたいと思っています。

takesi 
(生椿にて 山の植物の話をする高野毅さん)

[ 掲載日 2007年07月11日 | 読みもの ▼ひとつ前へ戻る ▲ひとつ次へ進む ]