
2007年9月15日(土)~9月16日(日)催行
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かつて全国の里山に生息していたトキ。
明治以降、乱獲や環境汚染によってその数をどんどん減らし
1981年には佐渡に5羽を残すのみとなる。
トキを絶滅から守ろうと保護活動がスタートするが
これら5羽も次々に亡くなってゆき
2003年に最後の1羽が亡くなったことで
日本の野生生まれのトキは絶滅。
その後、中国から贈られたトキは
トキ保護センターを中心とする多くの人々の力によって守られ
現在では100羽を超えるまでになる。
保護ケージで生まれ育つトキを
本来の自然の中に帰してあげたい!
「トキの野生復帰連絡協議会」の取組みが発足。
飛び方、餌のとり方などの基本的なことから訓練が始まる。
そして
第1号法人サポーターとなった(株)金羊社が
餌場(ビオトープ)作りのサポート活動を開始。
これは(株)金羊社の皆さんの
第2回『オリジナルビオトープツアー』に参加したレポートです。
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美しい山並み、表情豊かな海岸線、そして島中央にはおおらかに広がる
田園を持つ佐渡。
東京から訪れた私の目には、人と自然が調和しながら暮らす美しい里山を、
たくさん残しているように映りました。
ツアーの時期が初秋ということもあり、稲は小金色、風に揺られるたびに
キラキラと光りが踊るようです。
道沿いに咲く紫や赤、白の小さな花を見て、知らず知らずのうちに笑顔に
なっている自分に気づかされます。

佐渡の風景

赤い実がかわいい

白い花は何の花だろう?
最後のトキが残っていたという事、それは、ここ佐渡が日本の自然を残す貴重な場所であったと言う事につながります。美しい風景を残しているのに、そんな佐渡ですら、自力で生きる訓練を終えたトキを今すぐ放鳥したら、彼らが食べる餌をはぐくむ場所が足りてはいないのだそうです。
トキは毎日体重の10分の1に当たる量の餌を食べるそうです。
成鳥となると体重は2kg程にもなるため、毎日200gのドジョウやサワガニ、バッタなどを食べることになります。
それってどのくらいの量なのか想像しにくいですが、例えば60羽の成鳥のトキがドジョウを食べるとすると、
なんと!毎日1万匹ものドジョウが必要になるのだそうです。
佐渡にはきれいな田園が広がっているので、田んぼはたくさんあります。でも、餌になるドジョウが生きられる環境を作る為には、凍える冬場にも田んぼに水を張る、農薬を可能な限り使用しない、山の上で荒れたままになっているような土地を蘇らせるなど、工夫と継続的な努力が必要になってきます。
今回、私が参加させていただいたのは、斜面にある小さな荒れた棚田の跡地3段に溜め池のような状態を作り、ビオトープ化する作業のお手伝いです。
トキ野生復帰連絡協議会・会長の高野さんをはじめとする地元のスタッフの皆さんが用意してくれた、ひざ上まであるグリーンのゴム長靴(これが結構カッコイイ!、そしてはくと何故だか、すごくやる気が出る?)をはいてから、道具の説明を受け、いざ出陣!

並べられた道具達 全員グリーンの長靴スタイルです

高野さんから道具の使い方の説明をきく
鋤には鋤の、鎌には鎌の役目があるので、散らばった木々や小枝を集めて小山を作る、土を掘り返して軟らかい土壌にする、棚田の上から流し込んだ水を、足踏みを繰り返すことで土壌と混ぜ合わせる、水分が溜まるように土手を作るなど、道具の特徴を活かして作業が続けられました。と文章で書くのは簡単だけれど、これが実に大変!なにしろ足が沈む、沈む、沈む。普通、歩くというのは左右の足を順に繰り出していくことですが、ドブドブ状態の深い泥の中ではそう簡単ではありません。右足を進めたら、左足を泥から抜くのに渾身の力を入れて引き抜く、その引き抜いた左足を前に踏み入れると、また沈む。この繰り返しで、一体ビオトープ作りをしているのか、泥と自分の体重と格闘しているのか分からない状態に突入。気づけば参加者の皆さんも汗だくです。

いざ作業開始 この段階ではまだ泥も浅くみんなヤル気満々!
「もぉ~駄目だ!1歩も動けない」とへたばる直前、ナイスタイミングで、地元のスタッフの皆さんから掛け声がかかります。「枝などの小山を作ることで、このビオトープに棲息出来る生物の多様性が生まれるんですよ」という真面目なものもありますが、「道具の使い方が上手い、上手い」と持ち上げられて「えっへん!」なんてえばっていると「ハイ、上手だから向こうの方まで全部お願いしますよぉーーー」「む、む無理です!」などと笑いを提供してくれます。すると不思議、人って笑うと、また少し動けるようになるんですね。
そんな風にして自力というよりは、もうほとんど他力によって、なんとか予定のビオトープ作りが終了。小さいスペースながらも、荒れ果てた棚田がちゃんと溜池に変わっている。「う~む、私がドジョウだったら棲んでやってもいいかって気になりそう」という空間が出来上がっていました。

写真左部分のような草ぼうぼうの荒地を右部分のように変えていく

堅かった地面が徐々にビオトープらしくなっていく
第1回 オリジナルビオトープツアーメンバーの作ったビオトープには、既にドジョウやゲンゴロウなどが棲みついていて、それを地元のスタッフの皆さんが見せてくれました。
すると、普段なら「うぇっ~ ゲンゴロウ!」となるところも、なんだか愛しく感じられるのです。

写真下部分は第1回目のツアーメンバーの汗の賜物で出来上がったビオトープ
今回のツアーでは写真中央部分の荒地をビオトープに!

水があることで、植物も、そこに棲息するたくさんの生き物も現れてくる

ゲンゴロウを手にとって見せてくれる高野さん

ビオトープの中にいたゲンゴロウやとかげ
このツアーの大切なところって、こういう「愛しい」という気持ちが育まれるところなんだなと気づかされます。
20名以上の大人がフラフラになって作れるビオトープが、この大きさだとすると、1日や2日のツアーでお手伝いをしても、大して役に立てないなぁと思っていたのですが、このゲンゴロウの一件で、トキが棲めるような里山を愛しく思い大切にしたいという事に<心で気づくこと>が全ての始まりにつながるんだと気づかされました。
理屈では充分わかっていても、頭で理解していても、それは心や体が気づいているのとは違うのですね。
何故、トキだけ特別?守らなくてはならない生き物なら他にもたくさんいるではないのか?というような声もありますが、トキを守るというひとつの事が、ひいては日本の里山を守り、日本の美しさや生き物に対する思いにつながり、地球自体が生きているんだという事に気づくきっかけとなるのかもしれません。
少なくとも、私にはその効果があったようです。
来秋には、夕暮れの空をトキが自由に飛んでいてほしい。そう素直に思いながらビオトープを後にしました。

佐渡の夕暮れ こんな空をトキが羽ばたく日が来るのが待ち遠しい